「意識の研究」(スタニスラス・ドゥアンヌ)を学ぶことは、コーチング理論の理解をさらに深めることができます。
「無意識の書き替え」などにおいて、独自の味をつけていきたいと勉強しています。
この一連のブログ投稿は私の学習ノートです。今回は、無意識、意識に続くテーマ
「意識のしるし」を書いていきます。
脳画像技術は、実技の2点を明確にすることに貢献しました。
情報が意識に届く(認識される)時、脳はどのような活動をするのか
意識の活動と無意識の処理の活動がどのように異なるのか
スタニスラス・ドゥアンヌは「意識のしるし」と呼ぶ、四つの標識を見つけました。
【意識のしるし】
識閾下の刺激は、皮質の奥深くまで伝播されますが、気づきの閾を超えることによって強く増幅される。
増幅された刺激情報は、多くの領域に伝えられ、頭頂葉と前頭前野の神経回路の突然の点火を引き起こす。 (脳波図では、コンシャスアクセスはP3波と呼ばれる遅い脳波(1/3秒)として、遅れて出現します)
遅れて生じる高周波振動が突発的に起こる。
遠く離れた脳領域同士の同期した情報交換が起こる。
私たちは、会話中でも心の内側に引きこもって、自分の望むことを自由に考えることができます。
周囲の人が話しかけてきて、あなたと会話していると思っているような時でも、あなたの心は別のことを考えていることができます。
意識はいわば、侵すことの出来ない聖域なのです。
科学者は、どうやったらこの心の要塞に侵入できるのかということが長年の大きな課題でした。
そかし、1990年、小川誠二ら日本の研究者たちが、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を開発したとき、頭の中は透明になりました。
f MRIは、脳の細胞と血管の結びつきを、次のように利用します。
神経回路の活動が増大すると、ニューロンを取り巻くグリア細胞は、シナプスの活動の高まりを検知する。
このエネルギー消費の増加を迅速に埋め合わせるために、グリア細胞は周辺の血管を開く。
二、三秒後に、血流が増大し、より多量の酸素やブドウ糖が流入し始める。
酸素を運搬するヘモグロビン分子を含む赤血球の数が増える。
fMRIのおもな特徴は、ヘモグロビン分子の物理的な特性を、距離を置いて検出する点にあります。
ヘモグロビンは、酸素を運んでいないときには小さな磁石として機能しますが、酸素を運んでいるときには磁石のような機能はしません。fMRI装置は、ごく小さな磁場のゆがみを検出するために作られた調整された大きな磁石で、脳組織のあらゆる部位において、ヘモグロビンを通して、間接的に神経活動を見ることができます。
fMRIは、人の脳の活動を、1秒間に数回まで、ミリメートル単位の分解能で視覚化できます。
ニューロン発火の経時変化を追跡することは、fMRIにはできないのですが、現在では他の技術を用いて、頭蓋を開かずにシナプスでの電流の経時変化を正確に計測できるようになりました。
1930年代に発明された脳波検査法(EEG) は、現在では、最大256個の電極により頭部全体にわたって脳の活動をとらえ、ミリ秒単位でデジタル情報として記録する技術に進化しています。
1960年代には、脳磁図(MEG)と呼ばれる、技術が登場しました。EEGもMEGも、ごくわずかな磁波を精密に記録する装置です。
EEGは、頭部に小さな導線を装着、MEGは頭部の周囲に高感度の磁場検出装置を置くという方法です。
今や私たちは、fMRI、EEG、MEGを用いて、視覚刺激が網膜から最終的に高度な前頭皮質に到達し、脳の活性化が生じる様子を追跡できるようになりました。
認知心理学の技法とfMRI、EEG、MEGなどの装置を駆使すれば、意識を可視化することができます。
さまざまな実験方法によって被験者に刺激を与え、意識と無意識の比較をします。
例えば、
マスキングや非注意性盲目を利用すれば、視覚イメージを視界から消すことができる。
識闘付近で視覚刺激を与え、それに対する主観的な気づきだけが変化するように仕向けることができる。
同じ視覚刺激を、あるトライアルでは可視に、別のトライアルでは不可視にできる。
あとは、意識が脳にどのような変化を引き起こすかを調査するだけです。
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