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執筆者の写真Hatsuo Yamada

絶え間ない改善という価値観

トヨタは月の初めに必要な部品があるかないかを確認して、それからやっと車を作り始めるような会社でした。


当時の規模では在庫、つまり月の初めの部品を買う代金だけでも、当時の会社の規模からしたら相当な金額でした。


だから、必要に迫られて、集められる資金をできるだけ少なくするために、知恵を絞り出した結果が、JIT(ジャストインタイム)です。


完成車の在庫だけイメージされると、ちょっと想像しにくいかもしれません。


車のシートを例に取って見てみましょう。


完成車の組み立てラインでは、板金の上に、塗装して、組み立て工程の初めの頃にシートを組み付ける工程があります。


ドアは、メインのボディとは別に塗装工程を通りますので、この時点ではドアがない状態です。


開口部が広くなっているので、シートをボディの室内に運び入れるのには、適したタイミングです。


シートは、ボディの順番と同じように並べられています。(あらかじめシートメーカーでもその順番で作られます。)


ボディが決まった場所に差し掛かると、シートがボディの開口部に近づいてきます。あらかじめプログラミングされた通りの動きです。


作業者が位置を確認して、シートをボディに下ろして、ボルト締めをしてシートの組み付け作業が完了です。


シートの組み付けは、最初からここまでの同期はできていませんでした。


重筋作業ですから、かなり早くから自働化の対象でしたので、今では作業者は位置決めをして、ボルトで固定することだけの作業をするだけが残っています。


この作業を自働化するだけでも、一つ一つの細かい作業を分析して、付加価値のない作業をなくしてきました。


これがカイゼンです。



JIT(ジャストインタイム)とは、このシート組み付け工程のタイミングがピッタリ合うように、シートを供給する仕組みです。


みなさん想像してください。


シートは、シートのなる木からもいでくるようなものではありません。当たり前ですね。


シートの中には、たくさんの部品が入っています。


ばねを組み合わせた、シートクッションを取り巻く、人の座っている動きを、快適にするための機構があります。


ワンボックスのシートなどは、操作する方がどうやったら良いか迷ってしまうほどの仕掛けもあります。


シートメーカーさんが、シートを完成車の組み立てラインに供給するためには、たくさんの部品を集めて、組み立てる作業があります。


シートを完成車と見立てて想像すると、同じようにさまざまな部品が、タイムリーに集積されて、組み付けられるという手順をなくしては、成立しないのです。


車の部品は、ビスやボルトを1とカウントすると、5万点と言われます。


完成車の組み立てラインに供給される単位で見ても、2万点は降らないでしょう。


それらの一つひとつが決まったタイミングで、組み立てラインに供給され、決まった順番で組み付けられていきます。


完成車のラインだけ想像すると、一本の線と認識することも容易ですが、そこに同期しているさまざまな部品の製造ラインまでイメージすると、ものすごい広がりが見えてきます。


完成車ラインがここまでJITを実現するに至るまでの、カイゼン・カイゼンのつながりをご想像いただければ、幸いです。


トヨタウエイの1つに「絶え間ないカイゼン」ということばがあります。


今上記でご説明してきた流れは、「絶え間ないカイゼン」の結果として、それを受け継いできた人たちの思いが詰まったものなのです。


トヨタ式は、LEANで研究されしつくして、もはや海外では当たり前のように製造現場では活用されていると言われていますが、トヨタの製造現場の人ったちはさらに、そこに止まってはいません。


「絶え間ないカイゼン」という言葉が、2000年に編纂されたトヨタウエイのキーワードになっています。


彼らの知恵は、止まることを知りません。


こうだと思ったら、それをきっちりと「やり切る」精神と共に、日々新たなムダを見つけては、なくしていく活動を、絶え間なく続けています。


継続の力は馬鹿にできません。


私は、日本の会社の改善力を復活してもらうためにも、支援を続けています。


いくつかの会社で、「絶え間ないカイゼン」が根付いています。


一度fだけ、素晴らしい成果を上げて終わってしまうケースもたくさん見てきましたが、門等に大事なのは、「絶え間ないカイゼン」を続ける力なのです。


最近、カイゼンを真に理解してくれた、リーダーから「絶え間ないカイゼン」の報告をいただきました。


他の組織にも後につづいて欲しいものです。

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