私は「意識の研究」を勉強することによって、無意識の書き換えの方法などのコーチング理論に加えて、私なりのやり方を考えていきたいと思っています。
この一連のブログ記事は、私の勉強ノートです。
前回は意識と無意識が分離されていると思われる、脳の損傷を抱えている患者からの情報を分析したものでした。今回は正常な状態の脳についての実験です。
正常な脳は、やはり無意識のうちにイメージを処理しているのでしょうか?
脳の皮質は気づきを欠いても機能するのでしょうか?
読解や計算などの高度な機能も、無意識のうちに実行されているのでしょうか?
スタニスラス・ドゥアンヌの研究室は、脳画像法を用いて、見えていない言葉や数字が、皮質の深いところまで到達している事実をつきとめました。
イメージを数十ミリ秒間表示させながら、マスキングによって被験者には見えないようにすることができます。
このマスクされたイメージは、脳のどの部位まで達しているのでしょうか?
ドゥアンヌの研究室では、「闘下プライミング」と呼ばれる巧妙な技法を用いてそれを確かめました。
閾下プライミングの実験は次のように進んでいきました。
識閾下の単語や絵(プライム)をフラッシュした直後に、目に見えるアイテム(ターゲット)を表示させます。
これは、何度かトライアルが行なわれ、ターゲットはプライムと同一のケースもあれば、異なるケースもあります。
プライムとして「house」という単語を被験者に見えないようフラッシュしたあと、意識にとらえられる程度に十分に長く「radio」という単語を表示させます。
被験者は、隠された単語に気づかず、目に見えるターゲットだけに集中します。
研究チームは被験者がターゲットを認識するのにどれくらいの時間がかかるかを、二つのキーのどちらかを押してもらって測ることにしました。
現在では、プライミング情報は抽象的なものでも構わないことがわかっています。
プライムを小文字 (radio)、ターゲットを大文字 (RADIO)で提示しても、プライミングは機能します。
見た目には、これら二つの語は形状がかなり異なります。アルファベットを使わない国では、理解できないと思います。
小文字の「a」は、大文字の「A」にまったく似ていません。
要するに、文化的なきまりによって、これら二つの形状が同じ文字を表すと認識されているにすぎません。
大文字と小文字は同じことを示すということは、無意識化しており、視覚システムの初期の段階で処理されていることが、実験によってわかりました。
脳は、文字の形状の表面的な変化にもかかわらず、一目見ただけで文字の同一性を素早く認識できるのです。
学習した抽象的な情報を素早く理解しているということを示します。
さらに研究室では、情報の伝わる脳の経路についての古い考え方も覆しました。
fMRIを用いて、閾下プライミングによって影響を受けた、脳全体画像を取得した結果、
腹側視覚皮質の大きな部分が、無意識のうちに活性化することがわかりました。
この実験が行われるまでは、「腹側経路=意識、背側経路=無意識」という区分が一般的でしたが、腹側視覚皮質も無意識と関係があることがわかりました。
画像や単語の特定に関与する腹側経路も、無意識のうちに機能し得る事実を示すことで、この実験は、どちらの神経回路も、識闘下で機能する能力を備えていることを証明したのです。
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