完成車のシャワーテストは、車の水漏れを検出するためにやっていた検査です。
「品質は工程で作り込む」という言葉は、毎日のように製造現場では飛び交っていました。
今でもそれは変わっていないと思います。
”品質を工程で作り込めていませんでした。”
そこにメスを入れたのが、元トヨタ自動車の副社長佐々木眞一さんです。(部長時代)
「トヨタが推し進めている新しい取り組み「自工程完結」について、当初、社内で話をすると、真っ先に飛んできたのが、「そんなことはできないのではないか」という声でした。でも、私が最初に「水漏れ」の取り組みを進めたときにも、できるはずがない、とみんなが思っていたのです。ところが、本当にできた。」
「現場からオフィスまで、全社で展開する トヨタの自工程完結」佐々木 眞一著より
自工程完結活動はトヨタをはじめ、多くの協力メーカーの間でも盛んに行われました。
この活動の原点になったのが、「水漏れにかかわる2000以上の作業を洗い出す」
から始まったシャワーテストの廃止のカイゼンでした。
「では、私たちが何をしたのかというと、水漏れにかかわる可能性がある工程をすべて洗い出したのです。部門の協力のもと、それぞれの工程をすべて書き出し、羅列していきました。そして、その工程で、どうすれば絶対に水漏れしないという保証ができるか、現場に行ってヒアリングしたり、作業を見ながら確認したりしていったのです。
水漏れにかかわる作業だけで、二○○○を超えるものになりました。しかし、その作業を一つひとつ精査していったのです。
どの工程でも、もちろん懸命に作っています。聞けば「ちゃんと作っています」という声が
返ってくる。しかし、問題はその「ちゃんと」というのが、どういう意味なのか、ということです。」「現場からオフィスまで、全社で展開する トヨタの自工程完結」佐々木 眞一著より
やはり「思い込み」が障害でした。
「問題はその「ちゃんと」というのが、どういう意味なのか、ということです。」
コーチングで言えば、「スコトーマ」です。
工場全体、いやトヨタグループ全体というと少し大袈裟かもしれませんが、
全体がスコトーマに覆われていたと言っても過言ではありません。
この後佐々木さんのリードで、
全体を覆っていたスコトーマが外れ、関連メーカーを巻き込んだ大きな活動へ展開
関連メーカーを含めたトヨタグループ全体が、
新しいゴールへ進んでいきました
これをきっかけにして、一つひとつの工程が何をやるべきかを明確にする活動が自工程完結活動です。スタッフ職場を中心にこの活動が行われていきました。
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