教科書:『意識と脳――思考はいかにコード化されるか』(スタニスラス・ドゥアンヌ, 高橋洋 著)
過去二〇年ほど、認知科学、神経生理学、脳画像研究は、意識の解明に向けて堅実な実験を重ねてきました。
その結果、意識の研究はもはや思索の域を脱し、画像処理などをはじめとする実験方法が焦点となっています。
スタニスラス・ドゥアンヌの書籍には、この状況が詳しく書かれていますので、教科書として選びました。
私はコーチングで学んだ認知科学の理論をさらに深めると共に、最新の知見や将来などについて継続的に学習して行きたいと考えています。
そこで自分自身が勉強するための”自習ノート”=学習帳という位置付けで、
ブログ上に「意識と無意識」をテーマに、連続で公開して行くことにしました。
コーチングにとって無意識はとても大切なキーワードです。
このテーマに興味のある方は、ぜひ私と一緒に勉強しましょう。
今は否定されているようですが、「脳の中に小人が住んでいる、それが私の意識を司っている」というような考え方があります。
これに対し、スタニスラス・ドゥアンヌは「グローバル・ニューロナル・ワークスペース」と呼ぶ理論を構築しました。
ドゥアンヌの考え方の主旨は、
「意識は、皮質内で伝達される広域的な情報であり、脳全体で必要な情報を共有するためのニューロンのネットワークから生じる」と考えます。
アメリカの哲学者のダニエル・デネットは、この考えを「脳内名声モデル」という言葉で説明しています。
「脳の様々な無意識下で働くモジュールのうちに,一部のニューロン集団が注意の増幅によって駆動されて脳全体にかかわる状態になったものが意識である。」という意味です。
ドゥアンヌは、グローバル・ニューロナル・ワークスペースのおかげで、人間は印象深い観念を好きなだけ長く心に保持し、未来の計画に組み込むことができると言います。
意識は、適切な思考を選択し、増幅し、伝達するという役割をになっていて、それを行うフィールドが脳の中の「グローバル・ニューロナル・ワークスペース」であるという考え方です。
小人に象徴されるような脳の組織の一塊のようなものが、意志を持っているのではなく、ニューロンのネットワークが意志をもっているということになります。
最近の研究によって、脳が激しく自律的な活動の場であるということが、明らかになってきました。
自己活性化するニューロンの活動を実験により確かめることにより、脳内の広域的な内部活動のパターンがわかってきたということです。
「脳は不要な情報を容赦なくふるい落とし、顕著さの度合い、あるいはそのときの目的に応じて、たった一つの意識の対象を分離します。」という文章があります。
コーチングで言う、RASの働きに相当するように思えます。
しかし、今この本を読んでいる範囲ではRASという用語が見つかりませんので、
引き続き注意をして読み進めようと思っています。
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