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執筆者の写真Hatsuo Yamada

情報が無意識から意識にのぼるために、必要な条件

更新日:2022年5月29日

「意識の研究」(スタニスラス・ドゥアンヌ)を学ぶことは、コーチング理論の理解をさらに深めることができます。

「無意識の書き替え」などにおいて、独自の味をつけていきたいと勉強しています。


この一連のブログ投稿は私の学習ノートです。今回は、無意識、意識に続くテーマ

「意識のしるし」を書いていきます。


 

皮質領域は、主に下記の組織と強く結びついています。

  • 視床の外側中心核や髄板内核(注意、覚醒性、同期に関与)

  • 大脳基底核(意思決定や行動に関与)

  • 海馬(日常のできごとの記憶や想起に関与) 他、


この中でも皮質と視床を結ぶ経路は、とりわけ重要です。

視床は神経核の集まりで、皮質領域と緊密なループを構成しています。皮質領域は、視床を経由する並行経路を介して情報を共有しています。視床からの入力は、皮質を刺激し、その活動を「高められた」状態で持続させます。

昏睡状態や植物状態になるときには、視床とその相互結合による活動の低下することが大きな原因になります。


ワークスペースは、相互結合した脳領域の緊密なネットワークに依存しています。


そして皮質という組織の上層部では、互いに遠く隔たった領域にある組織と同期しながら大量のメッセージを送り合っています。

これらの領域は、長距離の神経が結合しているために、情報が意識されるときはつねに、その情報に関連する領域が点火します。



ニューロンは、入力信号を受け取る密集した樹木状の組織である樹状突起を介して、他のニューロンからの情報を集めます。

(「樹状突起 〈dendrite)」という用語は、「木」を意味するギリシア語に由来します)。


樹状突起は、無数のスパインでぎっしりと覆われています。脳の後部領域に比べ前頭前皮質では、樹状突起がはるかに大きく、またスパインの数も非常に多いことを画古くからわかっています。


脳内の長距離コミュニケーションは、ヒトの脳が特に発達しています。他の霊長類と比べ、ヒトの前頭前野のニューロンには、より多くの分岐とスパインが見られます。


遺伝子FoxP2は、言語ネットワークを調節し、言語の機能不全は、発音や発話に重大な障害をもたらします。


実験の過程で、ヒトに特有な二つのFoxP2変異体を持つ変異マウスを作り出しました。するとこのマウスには、ヒトのものに似た格段に大きな樹状突起を持つニューロンが形成されました。

このマウスは話すことまではできませんでしたが、すぐれた学習能力が発達しました。


ヒトの前頭前野のニューロンは、15000以上のスパインを持っています。ということは、この事実は、皮質や視床の遠隔領域に位置する各ニューロンとやりとりができるということになります。


脳のあらゆる場所から情報を集め、その情報を意識に上げて検討するために、グローバル・ワークスペースに入れる必要が生まれます。

そこでその情報を、何千もの箇所に一斉伝達する必要が生ずるのです。

ヒトの前頭前野のニューロンが、15000以上のスパインを通して各組織と繋がっていることで、この複雑な伝達が可能になっているのです。


視覚情報は突然、長距離の軸索を通して、脳のすみずみに送られるのです。右下側側頭葉からは、たった一段階のシナプスによって、大規模な結合が他方の大脳半球内を含めた遠隔の連合皮質に直接投射されています。


なおこの結合は、言語ネットワークの主要なノードを構成する、下側前頭皮質(ブローカ野)と側頭連合皮質(ウェルニッケ野)に集中しています。この段階で、入力された視覚情報に言葉が結びつきます。

これらの領域自体が、ワークスペースの広域ネットワークに参加しているため、情報は、高次の実行システムの全域に伝播されます。情報のやり取りをするニューロンの集合のなかで循環します。


スタニスラス・ドゥアンヌの見解は、「上記のネットワークへのアクセスが、入力情報が意識にのぼるのために必要な条件のすべてである。」ということです。

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