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執筆者の写真Hatsuo Yamada

ストックホルムで起きた信じられない現象

更新日:2022年9月7日

2022/9/7追記


下記の記事を書いた直後に、こんな事件の話が飛び込んできました。

ハイパーラポールの典型的な事例です。

詳しくは下記のYouTubeをご参照ください。


大脳辺縁系が恐怖を感じてしまうと、前頭前野の論理思考が弱くなってしまうのです。


苫米地博士は、ミニカルトとおっしゃっています。


私たちの日常でも、大きな声で恫喝されると、「怖い、怖い」と大脳辺縁系が活発になって、冷静な前頭前野の思考が妨げられてしまうことを、あなたの前頭前野にインプットしておいてください。


 

(以下はオリジナルの記事です。)


ラポールについては、前回の記事で紹介しました。

職場のコミュニケーションにうまく活用すると効果的です。


しかしラポールは、抑圧や恐怖によっても生じます。


「ラポール」の基本は「臨場感空間の共有」によって生まれるのですが、臨場感空間の支配者に対して被支配者がとても強いラポールを抱いてしまうことがあります。


もし、これを組織の中のコミュニケーションのコアーシブ(強制的・威圧的)な場面で使ったらどうなるのでしょうか?


ハイパーラポールを利用した組織は、リーダーが抑圧的に恐怖を利用して人を動かすとか、報酬を利用して人を動かすようなな組織です。


このようなコアーシブなやり方では、売上や利益にはつながりませんので、組織の中では、 「ラポール」は使っても良いですが、「ハイパーラポール」と混同して使わないようにご注意ください。



人間はある世界(仮想空間も含む)に強い臨場感を持つと、

その世界がリアルとなります。


ホメオスタシスは、物理的現実世界の環境の変化だけではなく、脳内の情報の変化にも反応しています。

私たちは他人との間に、共通の客観的な世界(空間)を感じています。


他人の「臨場感空間」を自分と共有することができれば、

他人を同調させることができるようになるのです。


人間がなぜ、空間をつくるのかといえば、臨場感を共有するためです。二つ以上の個体が空間を共有するために、情報処理空間をつくり、その空間を安定的にする働きがホメオスタシスなのです。


ですから、個人の物理的空間も情報空間もホメオスタシスにより維持されています。


それだけではなく、同じ世界の中で生きている、人と人の関係にも同じようにホメオスタシスの力が作用するのです。



あなたがコントロールできる臨場感空間に、

相手を引き寄せることが出来れば、

ラポールは生まれます。


 

1973年スウェーデンのストックホルムでの本当にあった話です。

この事件は、「ストックホルムケース」という題名で映画化もされています。



自由の国アメリカに逃れるために、主防犯ラースはアメリカ人風を装いストックホルムの銀行強盗を実行。

幼い娘を持つ銀行員のビアンカをはじめ、3人を人質に取り禁固室に立て篭もりました。


警察に要求して、犯罪者仲間であるグンナーを刑務所から釈放させて、立て篭もりのメンバーに加わえることに成功。


ラースは人質と交換に要求した金と逃走車に、グンナーと共に乗り込んだ寸前、警察は逃走車のタイヤを打ち抜き、彼らを人質と共に再び銀行の中に封じ込めてしまいました。


この後、銀行の中に閉じ込められた犯人と人質、ラースとビアンカたちの間に、不思議な共感が芽生え始めました。

犯人が寝ている間、人質が警察に銃を向けるなど、犯人に協力する行動を取るようにまで変わって行きました。


その後、人質は解放され、犯人は逮捕されたのですが、解放後も人質は犯人をかばって警察に非協力的な証言をしました。


これを「ハイパーラポール」と言います。


命の危険をも伴うような過度の恐怖のもとで臨場感空間を共有すると、その臨場感空間の支配者に対して、強い「ラポール」を覚えてしまうという現象を「ストックホルム症候群」と呼ぶようになったのです。


ラースとビアンカは、お互いに好意を持ち始めました。映画の中では、閉じ込められた二人がキスを交わすシーンもあります。


事件後ビアンカは、服役中のラースを刑務所に面会に訪れるまでの関係になっています。


犯人の言うことを聞かないと殺されてしまうかもしれないので、犯人の言うことにはすべて従うようになり、それがやがて強い依存心となり、「ハイパーラポール」に発展したということです。


ハイパーラポールとは、ある臨場感空間を共有しているだけでなく、さらに支配している人がいると、その臨場感を共有している人たち全員が支配者に対して、とりわけ強烈なラポールを感じることです。


ラポールについては、前回の記事で紹介しました。

職場のコミュニケーションにうまく活用すると効果的です。


でも、ストックホルム症候群のようなケースもありますので、使い方にはくれぐれもご注意ください。


ラポールは、抑圧や恐怖によっても生じます。


「ラポール」の基本は「臨場感空間の共有」によって生まれるのですが、この物語のように臨場感空間の支配者に対して被支配者がとても強いラポールを抱いてしまうことがあります。


もし、これを組織の中のコミュニケーションだったら、どうなってしまうのでしょうか?


ハイパーラポールを利用した組織は、リーダーが抑圧的に恐怖を利用して人を動かすとか、報酬を利用して人を動かすような組織はコアーシブ(強制的・威圧的)な組織です。


前にも述べたように、このような組織では売上や利益にはつながりませんので、組織の中で活用するには、 「ラポール」と「ハイパーラポール」を混同しないように注意が必要です。




相手に自分の世界の臨場感を持たせる技術を「Rゆらぎ」といいます。


「R」とは、「Real World] つまりリアリティのことです。

その人がそのときに持っている臨場感空間が「R」です。


人間はある世界(仮想空間も含む)に強い臨場感を持つと、

その世界がリアルとなります。



通常、人は物理的現実世界に臨場感を持っています。

物理的現実世界の中だけで、他人の「R」をコントロールするのは簡単ではありません。


物理空間でなく、自分のコントロールしている情報空間に相手の臨場感を移すことが出来れば、「Rゆらぎ」が起こります。


相手のリアリティをゆらがせて、こちらの世界「P」に引きずり込ませることが出来れば、成功です。

「P」は「Possible World」の略です。


「Rゆらぎ」は、相手の現在のリアリティをゆらがす技術です。


相手のリアリティをゆらがすには、「相手が今持っている臨場感空間を通常と異なるモーダルチャンネルで記述する」というのが原理です。


ちょっと難しい表現ですが、モーダルチャンネルとは、外界からの情報が脳へと伝えるための接触点、いわば脳への入口のことです。


人間では、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚に言語をプラスした六感がモーダルチャンネルにあたります。


つまり、イメージ、音、物に触れた時の感触、味、匂い、言葉などを使って、


他人の「臨場感空間」を自分と共有することができれば、

他人を同調させることができるようになるのです。



何度も書きますが、「ラポール」と「ハイパーラポール」を混同しないように注意してください。

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