今回のお話は、業界をリードする製品を20年以上作り続けてきた組織のお話です。
最近では競合メーカーに差を縮められ始めています。
そこで、競合メーカーに勝てる新製品を開発することになりました。
いわゆるモデルチェンジです。
5月中旬に、初回のミーティングを開催。
参加メンバー間で、なんとしてもプロジェクトを成功させることを誓いました。
その時のメンバーの意気込みは、素晴らしい情熱に満ちていました。
まさにエフィカシーが高いという表現がぴったりでした。
新規プロジェクトの成功を期して、
今回は「車両の原価企画」を導入することになりました。
原価企画とは、製品製造の初期段階での原価管理活動です。
製品の製造コストは、商品企画、製品企画や設計、試作など、開発初期段階の活動に左右されます。つまり、コストを適切に管理するためには初期段階にフォーカスした管理体制が求められます。
原価企画では新製品のコンセプトを明確にして、目標原価を設定します。
この時、営業からの情報を分析して想定した売価がかなり厳しいものでした。
必要となる目標原価を達成するためには、30%の原価低減が必要でした。
各メンバーはある程度は想定はしていたものの、途端に固まってしまったのです。
この製品は、大きく3つのユニットから構成されます。
メンバーは3つのユニットのうち一つを改造する程度だと考えていました。
各メンバーは、暗黙のうちに次に発注してもらえる顧客を想定していました。
それによると、許された期間は半年だということになります。
半年で30%の原価低減が必要になってくるのです。
「こんな厳しい目標は達成不可能!」という気持ちがになるのもわかります。
しかし、5月中旬のミーティングの時の誓いはなんだったのでしょう。
コーチング的には、「スコトーマが発生」してしまったわけです。
今回のスコトーマは、岩盤のように硬い印象でした。
こんな時、みんなで議論することが重要です。
でも、毎日メンバーが集まり、ミーティングを繰り返したことで、前が開けてきました。
ターゲットを半年後の製造番号に絞る必要は本当にあるの?
大きな変革をするんだから、少し時期を伸ばしても許されるのでは?
時間を絞り出して、勇気を出して、3つのユニットの構造を全面的に見直そう
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スコトーマが外れて、コレクティブ・エフィカシーが戻ってきました。
6−7月は議論を繰り返し、7月の終わり頃にスコトーマが外れました。
8月になると、
「メインの構造を縦型から横型に変更」という画期的なアイデアが出てきました。
ここまでの活動の結果を集計したところ、必要な低減額は5%まで下がっていました。
もともとコレクティブエフィカシーの高い組織でしたので、
皆で議論することで、自らスコトーマを外し、
スコトーマが外れたら一気に画期的なアイデアが噴き出してきたという
典型的なコーチングの効果です。
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