私が2009年10月に、重いヘッド、ふにゃふにゃなシャフトの悶絶クラブを使うようになって、今年で足掛け14年になります。
悶絶という言葉が示す通り、それ以前のスイング方法でボールを打とうとすると、ゴルフクラブがいうことを聞かず、ものすごい反作用の力がクラブから伝わってきて、思うようにスイングすることが出来ません。
本当にゴルフクラブが、持ち主の意志に従わず、クラブ自身の動きたい方向を主張してきます。
ひどい時には、後に引っ張られる力がものすごく大きいので、私自身がそれに対抗するようになってしまい、無駄な力を入れてなんとかスイングしようとするのですが、クラブヘッドがボールの10cmも手前に落ちてしまうことがありました。
いくら好きなゴルフと言っても、こんな状態を10年以上も続けていたら、自分の無意識の中にある種の恐怖感、不信感のようなものが住み着いてしまい、自信を無くしてしまわない人はいないと思います。
悶絶から解放された今となっては、懐かしい思い出です。
兎に角悶絶以前のスイングによるスコトーマを如何に外すか、
ということへの挑戦の日々でした。
「まず脳内イメージを変えないことには、始まりません」という私の師匠の教えは、言葉では理解していたつもりです。
半年近くスイングの練習をせずに、頭の中で悶絶しないスイングのイメージを作り上げようとした時期もあります。
しかし、これは失敗しました。
言葉で教えてもらうイメージだけを頼りに、自分の脳の中でイメージを組み立てるということは、至難の業というほかありません。
皆さんには下記をご理解いただく必要はありません。言葉だけでは正確なイメージが掴めないことが、ご理解いただければ十分です。
右に体重移動:右足の上に体重を載せる、ここで後ろを向く。
テイクアウェイを大きく回すためにも、右肘で引っ張るようにして右肩のあたりまでグリップを持っていく。
左に体重を移動し始めながら、右肘で軽くグリップエンドを押してやる。
この時点で余計なことをやらなくても、体重移動が行われるだけで、インパクト時には体の正面を向く
逆に正面を向こうと意識すると右回転が始まってしまう。
グリップエンドを押す時は、右手の腕についている部分で押す。
左手はブラブラさせるイメージを持つと、押されながら手の甲がボールの方向に向かって行く感じ
そのまま右手で左手を押していくと、左腕は押されて地面にぶつけられるので、左肘を抜いて、逃がす。
コーチングでは、ゴールを達成するためには、エフィカシーが重要だと教えています。
自分が心から達成したいと思うゴールの臨場感を高めていけば、ゴールの世界を当たり前だとするホメオスタシスレベルが生まれます。
(ホメオスタシスは、別の記事で説明していますので、こちらをご参照ください。)
ホメオスタシスレベルが上がれば、当然あなた自身の評価が高くなります。
このような状態を「エフィカシー」といいます。
エフィカシーとは「自分の能力に対する自己評価」という意味で、何か物事に取り組んで努力する以前の、「自分にはそれができる」という自分自身に対する自信のことです。
エフィカシーを自負心と捉えてもらった方が、わかりやすいかもしれません。
このエフィカシーを高く保てるかどうかが、ゴール達成の可否を左右します。
ゴールの世界の高いコンフォートゾーンを脳に刷り込むために、何をすればいいのでしょうか。
それは、高いエフィカシーを持つことです。
ゴールのコンフォートゾーンが自分に最もふさわしいと感じることです。つまり、「私は高い能力を持っている」という本人の評価を上げることなのです。
高いエフィカシーを「はったり」と混同することは危険です。
はったりは、自分が思っている以上の評価を持つことで、自分が設定したエフィカシーよりも高いために、コンフォートゾーンからも外れてしまっています。
「エフィカシーをあげましょう」という言葉だけを連呼するような方もいますが、皆さんはこの点に気をつけてください。「はったりをかましましょう」とは明らかに違います。誤解しないようにご注意ください。
多くの人は、過去の失敗や他人(特に親や教師)の言葉にとらわれ、いまの自分を過小評価して、エフィカシーを上げることができないでいます。
親や教師は、子供の時には一番影響力の大きい存在です。
私は、小学校3年生になって、ガクッと成績が落ちました。
その時の教師に、徹底的にエフィカシーを打ち砕かれてしまった経験があります。
セルフ・エスティームの低い教師は、優秀な子供に対して強迫観念を持ち、無意識で恐れているようです。子供を自分のレベルに引き下げようとします。
その教師は、上司の校長や教育委員会など、上しか見ていないような人でした。
5年生になって、ようやく私はその教師の偏見から逃れることができて、徐々に勉強も身につき、成績も回復していきました。
私は、コーチングを習得した今ならこのカラクリがよく理解できますが、小学生の頃には自分の環境が変わるまで、じっと耐えているしか他に方法はありませんでした。
エフィカシーの低い人には注意が必要ですが、逆にエフィカシーの高い人のそばにいるだけで、自分のエフィカシーが上がっていきます。
他人の言葉の呪縛を解き、エフィカシーを高めるために必要なものが、アファメーションです。
「私は、たいした人間だ」「私にはできる」という内容のアファメーションを行うことによって、毎日、エフィカシーを高めていくようにするのです。
アファメーションについては、別の機会に詳しく説明したいと思います。
人は、未来のゴールを設定して、その未来に対していまの自分がどうあるべきかを条件づけることで、自己イメージを高く保つことができるのです。これが、未来をカイゼン・KaizenYourFutureです。
未来をカイゼンKaizenYourFutureでも、エフィカシーを上げることの重要性を十分説明いたします。
私は、昨年コーチングを習得して、自分のゴールの一つにゴルフのゴールを設定しました。
人生のゴールは、仕事に限定されるものではありません。
キャリア、家庭、姻戚関係、ライフワーク、財産、住環境、地域活動、精神性、健康、余暇など、生きがいを見つけられるあらゆる分野にゴールを見出すことができます。
バランスホイールと言って、上記のような項目についてホイールの中に整理して行きます。
バランスホイールについても、別の機会に詳しく説明いたします。
そして、私はゴルフのゴールを達成するために、もう一度基本から出直してみることにしました。
「刷毛塗り」と言われる、ボールの前後50cmくらいの小さなスイングから始めて、立体的なスイングまで、私は一つ一つやっていきました。
すると、これまで私の無意識が溜め込んできた言葉のイメージが、私の頭の脳の中で、実際のスイングのイメージに重なり始めました。
これまでの悶絶の歴史がムダにはなっていなかったことに、私は大きく感動しました。
私の脳の中には、悶絶脱出への必要な知識が全て詰まっていたのです。
それが、実際のスイングのイメージと重なった記憶として、脳の中に湧き出てきたような感じでした。
私の師匠のブログ記事をもう一度読み返しますと、一つ一つの言葉が私の脳内にあるイメージと結びつくようになっていました。
以前にも同じ記事を読んでいますが、イメージの臨場感が脳の中に具体的な映像となって現れてきます。
このような経験を感じることが出来たのは、私の脳に詰め込んだ認知科学の知見がサポートしてくれたお陰でもあります。
10数年を経て、長い間断片的に蓄積してきた記憶が、脳内イメージとなって、私の脳の中にやっと像を結ぶようになってきたのです。
約1年前、私がもう一度基本から出直して練習を始めた直後でしたが、突然良いあたりが出始めました。
しかし、一度崩れると、雪崩のように崩れてしまい修正が効きませんでした。
1日のラウンドの中では、立て直すことが出来ませんでした。
この頃は、まだイメージが完全に映像として完成していなかったようです。
その後、私はコーチングの定石に従って、下記のようなセルフコーチングを繰り返しました。
皆さんにも、この方法をお勧めします。試してみてください。絶対効果が出てきます。
こうやって私は、エフィカシーを徐々に上げて行きました。
自分で原因を分析して、それを取り去る方法を考えてやってみる。
やってみて効果がなければ、身についてしまったスコトーマがあるはずなので、スコトーマを探して外してみる。
悶絶前に習得したスイングに対する思い込みなどを想定して、スコトーマを探す。
「決定的な場面でいつも失敗する」とネガティブなセルフイメージに縛られている場合には、「決定的な場面でこそ活躍できる」とセルフイメージを書き換え、エフィカシーを上げる。
ここぞというショットを打つときに、緊張しやすいので、逆腹式呼吸などでリラックス状態を誘導する方法をマスターする。
自分の欠点・問題点を後悔せず、よかった点、成功体験を強くイメージする。
自分の弱点や欠点は何度も思い出さない。「 こんなミスを犯すなんて、自分らしくない」と考えるようにする。
エフィカシーを高めるために、ゴールを明確にする。
最初に自分が設定したゴールよりも一つ上のレベルをめざす。
失敗した時に、「自分がこんな失敗をするはずがない」と思えるようになる。
うまく出来た要因を分析して、そのポジティブな側面を伸ばすようにする。
実際にラウンドする時には、朝ゴルフ場に行くときに、車の中で気持ちが高ぶる音楽を聴く。
これは、「アドレナリンのウォーミングアップ」。
ゲーム前に軽い興奮状態をつくりだし、ある程度アドレナリンが出やすい環境にしておくことで、いざゲームが始まり、ボールを打つ、まさに乾坤一擲の瞬間に一気にアドレナリンが放出される。
また、リズムがある音楽はセロトニンの分泌も促す。これによってエフィカシーをさらに上げやすくなる。
【チーム競技の場合は、上記に加え、下記を追加すると良いと思います】
ほかのメンバーと合わないからといって、自分の評価を落とす必要はない。
むしろ「まわりがダメだ」と思え。ただし思うだけで、口に出してはいけない。
自分の行動には絶対の自信をもつ。
チーム(集団)にもエフィカシーは存在します。
チームのエフィカシーをコレクティブ・エフィカシーと言います。
コレクティブ・エフィカシーを生み出すのは、〝ゴールを共有すること〟と〝その結果としてラポール(心理的連帯感)が生まれること〟です。
リーダーと集団がゴールを共有すると、高いコンフォート・ゾーンも共有され、ラポールが生まれます。
まずはリーダーが〝レベルの高いゴールを設定〟し、〝チームのみんながそれを達成できると思う〟ことが重要なのです。
コレクティブ・エフィカシーが高まると、仲間の連帯感は自動的に生まれます。
人は、コンフォート・ゾーンで臨場感状態を共有すると、仲間意識が芽生え、仲良くなるようにできているのです。
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