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執筆者の写真Hatsuo Yamada

「原価」=「売価」ー「利益」は、お客様のご要望を反映しています。

のなかで、製品開発の重要な活動として、原価企画活動のお話をいたしました。


原価企画は、本物の製造業の「儲かる仕組み」です。

とご紹介しました。


私は単純に「儲かる仕組み」を強調したわけではありません。


当たり前のことですが、会社は利益を上げなければ、存続していくことはできません。


トヨタでは、「お客様のニーズに応える」という考え方が原点です。


私の現役時代に、張名誉会長のご講和の中で、「お客さまは、暗闇を照らす灯台です。」という言葉を、拝聴しました。


車を買ってくださるお客さまには、不特定多数のさまざまな方がいらっしゃる。そのさまざまなお客さまのご意見を、真摯に受け止めて良い車を作ってお届けする。


これを愚直なまでに長年続けて来たので、今のトヨタがある、お客様がいらっしゃるから、お客様のお陰で、トヨタが存続していけるのだという趣旨のお話でした。


もちろんこの考え方は、トヨタ自動車本体だけでなく、一緒に参加していただける取引先様とも共有して、常に忘れずに仕事をしています。


トヨタ自動車東日本の前身の関東自動車では、「お客様本位性」というキーワードで、お客さまのお考えを基本にした行動をとることが、会社の基本的な方針としていました。




4月1日の記事では、

「原価」=「売価」ー「利益」の公式をベースに、目標原価を設定し、製品開発に携わるメンバー全員で、共有することで、コレクティブエフィカシーが高まり、原価企画目標達成に向けた、さまざまなアイデアが生まれた事例をご紹介しました。


コレクティブ・エフィカシー


ゴールが単なる数字でなく、「自分達のやるべきこと」だと腹に落ちた瞬間に、みんなの気持ちがその高みを目指し始めました。


「俺たちならできる!」と言う気持ちがある技術者に芽生え、全員に伝染していきました。


記憶に残っていらっしゃら位方は、もう一度、読んでいただくいことをお薦めします。



さて、次の二つの式を比べてみてください。

  1. 「原価」=「売価」ー「利益」

  2. 「売価」=「原価」+「利益」


「原価」=「売価」ー「利益」

「原価」+「利益」=「売価」・・利益を左辺に移行すると同じじゃん!

と言われて仕舞えば、それまでなのですが、下記のように考えてみてください。


  1. は、お客さまが認めてくれる値段を「売価」とします。 売り手が勝手に、「売価」を決めるのではありません。 ある意味では、相場価格です。 その中から、会社が存続できる「利益」を引いたものが、原価企画目標です。

  2. は、製品開発段階で成り行きで掛かってしまった「原価」に、利益を上乗せしたものです。これでは、お客さまに認めてもらうのは困難になりますので、値引きしてでも買っていただくと言うことになってしまいます。


こうやって見ると、全然違う式ですし、根本の考え方が全く違います。


さらに、「売価」を相場価格で決めることが根本の考え方にあります。お客様に認めていただける価格を前提にしています。


冒頭で、「お客様のニーズに応える」という考え方が原点です、と説明しました通り、目標設定の根底にも、この考え方が流れているのです。


お客さま満足を得られながら、会社が存続するための利益を確保することができます。


関係者全員が、この考え方から設定された目標である。つまり、お客さま満足が後ろについている目標である考え方を共有しています。


各設計者は、自分の担当部品ごとに目標が割り振られていますので、自分の役割が明確に示されています。各自に割り当てられた、目標原価を達成できれば、「お客様のニーズに応える」ことができたと言う達成感を味わうことができます。


こうして、新製品の立ち上がり前までに、上図のような原価企画目標が達成できますと、製造段階では、企画で想定した通りの利益が得られますので、さらに次期の製品開発にそのお金を当てることができるようになります。


製造は、製品を作りながら実物を見て、さらに原価低減活動を続けます。

トヨタ生産方式は、できる限り在庫を持たないと言う方針ですので、「売れないものは作らない」と言う基本的な考え方をベースに生産活動を実施していきます。


相場価格すから、お客さまには受け入れていただける可能性が高いので、販売数が計画通りに推移し、原価低減活動にも力が入ります。原価低減活動でさらに捻出した利益は、やはり次期の製品開発に回っていきます。


新聞等で「ムダ取りはトヨタのお家芸」などと報道されますが、製品開発の原価企画と生産段階の原価低減活動の結果として、このように評価していただいているのです。


従業員は、これらのカイゼン活動を通して、達成感を味わい日々活動を継続していきます。


利益あくまでも、開発と生産活動の結果が、お客さまに認められた結果として、会社を継続していくために回転していきます。



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