前回は「カンバン」の基本的な使い方を説明しました。「カンバン」を活用することによって大きな川のような流れができます。
川の本流に向かって支流から流れが注ぎ込むように、部品メーカーさんから供給される部品が合流します。この流れとタイミングが「カンバン」によって、コントロールされています。
「カンバン」はTPSの車両生産のベースとなる、仕組みです。これをジャスト・イン・タイム(以下、JITとします。)と呼んでいます。
例えば、皆さんがイメージしやすいように、もう少し詳しく説明します。ルームミラーを例にとって、数字は区切りの良い数字にしてありますので、実態とは違うことをあらかじめご了解ください。
ルームミラーのパレットには、ルームミラーが10台分収容されています。「カンバン」はパレット1つに1枚ついています。
ラインサイドの部品棚に2パレット、メーカーさんとメインラインの間の輸送中のパレット6パレット、メーカーさんの出荷場所に2パレットというように、メーカーさんの工場とメインラインの距離などを計算に入れて、必要な手持ち分をあらかじめ決めてあります。
手持ち分というのは、部品が切れ目なく使われていくために必要な在庫、と理解していただければ良いと思います。
部品のパレットには「カンバン」が必ず1枚付いていますので、
ラインサイド2+輸送中2+出荷の手持ち分2=6パレット
6パレット✖️10個/パレット=60個
これから、ルームミラーの在庫は常に、60個ということになります。
「ルームミラーは通常60個の手持ち分が必要」という数量を計画の段階で決めて、その在庫の数量を維持するために「カンバン」が大きな役割を果たしています。
ルームミラーの在庫が60個、6パレットですから、ルームミラーの「カンバン」は、6枚だけあれば良いということになります。
しかし、何らかの誤りで「カンバン」を2枚余分に作成してしまって、8枚が使われてしまったとしたらどうでしょう。
実際にはパレットも2つ多く存在しなければこうはなりませんが、共通のパレットが2つ多くあったとしたら、8枚の「カンバン」が余分に振り出されて、流通してしまいます。
ルームミラーの在庫数量が80個に増えてしまいます。通貨で言えばインフレ状態ですね。
「カンバン」は通貨の機能も持っていることがお分かりいただけたでしょうか。
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